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09.19.2010

 

『クリス・ペプラーさんって、マジでモノホンのロック・マニアでした。いや、本当に感激です。』

『クリス・ペプラーさんって、マジでモノホンのロック・マニアでした。いや、本当に感激です。』
 
 先週末の土曜日18日にJ-Waveで放送された番組「オトアジト」を聴かれた方、いますか?もし、聴いていない、あるいは聴けない地域にいる、と言う方には非情に気の毒な話ですが、自分でもビックリするくらい、楽しい時間をそこで過ごすことが出来たんです。

 ここのところ、何かとJ-Waveと縁があって、ひと月の間に3回ほど、番組出演させてもらいました。普段はラジオをほとんど聴かなくなっていた(自分の番組でさえです)ぼくには、よい意味で、ラジオに改めて前向きになれる機会を持てるようになった、J-Waveとの出会いでした。

 特に、その中でも、先週の金曜日に収録して翌日の土曜日にOAされた「オトアジト」という番組は、いろいろな意味で、ぼくに大きなショックとポジティブなモチベーションを与えてくれた番組になりました。
 内容は、簡単に言うと、ホスト役のみなさんよくご存知のクリス・ペプラーさんを相手に、ビールを飲みながら音楽の話を思いっきりする、という形です。

 ビール会社がスポンサーということで、こういうやり方が可能になったんですね。一昔前には、放送中にアルコールなんて考えられませんでした。
 例えば、どうしてもビールを飲まないと口がきけない、というミュージシャンとかがいた場合、スタジオの目立たないところで、とりあえず軽く飲んでもらって、緊張がほぐれたらマイクの前に座ってもらう、なんていうことをこっそりとやったり、とにかく、普通はありえませんでした。

 それが、この「オトアジト」という番組は逆に飲まないと始まらない、って言うんですから、時代が変わればルールも変わるんですよね。ぼくは、そんなにドリンカーではないし、顔に出るタイプなんで人前ではほとんど酒は飲まなくなりました。DJしてる時も、ウーロンハイくらいですね。昔はキツいのをガンガンやってましたけど。

 それはともかく、クリスさんとはテレビを通じてしか面識がなかったぼくは、たまに彼が音楽系の番組で喋ったりしてるのは見聞きしてましたが、正直、所詮はタレントの「趣味」くらいだろうとタカをくくっていたんです。それが、番組を進めて行くうちに、「アレ?ちょっと違うんじゃない?この人、ヤバいんじゃない?ナメたら火傷するかもよ」という声が心のうちから届いて来たんです。

 収録では、およそ1時間半くらい、ノンストップで二人でビール片手にメチャ熱いトークのしっぱなし。誰か止めてよ、というくらいにぼくは早口で泡を飛ばすような勢いで喋り倒し、クリスもそれに負けじと、ツッコミを入れたり、逆に話題を振って来たりと、ソートーにヤルんです。その間に、彼はジョッキ二杯くらい、ぼくも一杯くらい飲んでました。顔真っ赤でしたねぇ。

 段取りはぼくらもそうするように、まずは最初に買ったロックのレコードというところから入り、その後、いかにして、今に至ったのか、という順番で、過去から現在までの音楽体験を語る、というやり方。
 だから、ぼくの普通にいつも通り、まずはエレキ・ブームでヤラれて、そこからビートルズに行き、気がついたら、こんな風なロック・クレイズになってました、という進行なんだな、と素直に聞かれるままに答えていました。
1– The Ventures 「In Japan 」

 でも、たいていは、その始まりのエレキ・ブームが理解してもらえず、ビートルズとかの話も無難な感じでスルーして、聴き手も台本に沿って時間をこなすという感じなんですが、彼は違ったんです。いきなり、エレキで、ぼくがベンチャーズの話をしていたら、いきなり加山雄三の「若大将シリーズ」の話題を振ってきたんです。クリスにとってのエレキ初体験は、若大将だと。これには軽いパンチをいきなり出されたみたいに面食らいました。今まで、ベンチャーズから若大将に話が跳んだことなんかラジオではほぼありません。しかも、ぼくも大の「若大将ファン」です。

 そこからはもう、まるで昔の幼なじみに久々に再会したかのような感じで一気に加速して台本から2万光年くらい離れたところでの会話になったりして、それでも、誰もそれを止めないどころか、スタッフのみなさんも呆気に取られたり、大笑いしたり、感動している様子が、こちらからもよく分かりました。

 クリスいわく、「若大将」には「怪獣」がセットになっていたから、自然とゴジラ・シリーズとかの怪獣モノのファンになり、そこからウルトラマンとかの特撮モノにも興味が湧いたんですよね。まさに、その通り。東宝系の映画は当時、まさにその組み合わせでおこちゃまファン層を獲得していったんですから。小学生のぼくと、ぼくより6つ若い園児のクリスとの「時差」は、しかし、そんなに深くはなかったみたいです。
2- シェルブールの雨傘

 その後で、ぼくが73年に初めて渡英して、そこで偶然にクイーンのポスターを見つけ、日本でまるで話題にもなっていなかったデビュー間もない彼らに憧れ、翌年の日本デビュー盤の解説を書かせてもらい、その解説の締めくくりの言葉として「神よクイーンにご加護を」と記して、当時の音楽仲間や知り合いの評論家とかに、やたら冷やかされたと言うと、「あー、ゴッド・セイブ・ザ・クイーンですね」とすぐに反応してくれて、何がおかしいの?と言わんばかりな顔付きで、「実はぼくもクイーンでは初めの頃のが好きなんですよ」と続け、「アメリカでウケるようになった頃のはあんまり関心がない」とまで。
3- Queen 「戦慄の王女」

4- Reservoir Dogs サントラ

 まるで、ぼくの好みの調査でもしたんじゃないの?と思えるくらい、ピッタシな発言を続ける彼に、「おぉ、こんなところに我が同志がいたとは!」の思いを強くし、74年春の武道館での初来日ライブにも一番上の席から見ていたという彼に、ぼくも、もうちょいいい席で見てたんだよ、と相づち返し、クイーンから、その時代の人気のあったキッスやエアロスミスの話に行き、またまた出ました異口同音に、「アリス・クーパーってサイコーだよね」発言。そうなんですよ、あの頃、何故か日本ではアリスはワンランク下のように見られていた感じで、それがぼくもクリスも納得いかん、という意見。
5- Alice Cooper 「 Pretties For You 」

 彼はメジャー・デビュー以前のフランク・ザッパが主宰していたレーベル「ストレート」に残した二枚のアルバム時代から好きだったと言うほどの、ホンモノのファンで、互いに特にデビュー作の「Pretties For You」を初めて聴いた時のショックを今も忘れていない、など、ここまで来るともはや普通のロック談義ではなく、マニアの悦楽室的なトークと化していました。

 その後も、プログレにも話は飛んで、彼はイエスはいいけどキーボードなら断然EL&Pのキース・エマーソンでしょ?と言い張り、ぼくはEL&Pもいいけどナイスも忘れちゃダメだよね、と。
6- EL&P 「Tarkus」

 そんな感じであっという間の1時間半。これ以上は収録不能ということでカットでした。それが、実際の土曜日の放送では、半分くらいの45分程度に編集されていました。確かに、もっと長く放送して欲しいな、と思うところもありましたが、それ以上に、よくここまでうまくあの怒濤のトークを編集出来たもんだ、と聴きながら思わず感心してしまいました。何しろ、切れ間なくとめどなく垂れ流し状態の二人の火花散る熱すぎるトーク。彼の話はかなりカットされてましたね。
7- The Clash 「 London Calling」
 いずれにしろ、こんなに楽しくロックの話がラジオで出来たのは、本当にチョー久しぶりでした。「ロンナイ」や「ROCK YO TOWN」とは全然違うし、年末のNHKの渋谷陽一くん、伊藤政則くんとの鼎談とも違う、もっと、こう、根っからのロック好きが思いのままをお互いにぶつけ合う、そんな感じの内容でした。そして、そういうモノを生み出すきっかけを作ってくれた番組の関係者に感謝します。そしてさらに言うまでもなく、クリス・ペプラーさん、あなたは実際ケタ外れにスゴいロック・ファン/マニアです。評論なんか関係なく、本気でロックに自己投影出来ちゃう素晴らしい人です。

 今まで、かなりな見当違いをしていましたが、スンマセンでした。脱帽して、また、ヨロシクお願いします。

 彼にSHE & HIMを知ってもらえてよかったな、と今しみじみ思っています。
8- She & Him 「Volume 2」

 大貫憲章 / KENSHO ONUKI

 
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